読書23 通貨で読み解く世界経済
通貨で読み解く世界経済
小林正宏・中林伸一 中央公論新社刊
現在の85円前後の円相場は、15年ぶりの円高水準にあるといわれますが、物価水準を考慮すると実質的には、130円前後と推計されるということです。つまり、95年当時に比べれば、まだ円安であるということになり、円高基調が続いてもおかしくないということですね。
また、日本企業はバブル崩壊以後、負債を削減してきたというのが一般の見方であり、この流れを変えて、設備投資を増やし資金需要を増やすのが課題だと言われます。
しかし、実は、民間部門の負債は、借金漬けのイメージのあるアメリカとようやく同水準になったに過ぎないのですね。これじゃ、どんんどん設備投資を増やすなんてムリです。ましてや法人税率の引き下げなんて全く効果はないでしょう。
結局、物価も為替も現在の経済を映す鏡だということです。