読書メモ
海賊とよばれた男 講談社 百田尚樹 出光興産の創業者出光佐三の生涯を描く歴史経済小説。 売れているのがよくわかります。どの場面でも、必ず盛り上げて、困難を突破する主人公の人間力を描く起承転結がある。 近いうちに映像化されるのでしょう。 現役の放…
日本仏教史 新潮文庫 末木文美士 日本の仏教を学問として捉えるのはムリなのですね。仏教史という歴史として扱うことはできても、教学を体系化できない。それほどに融通無碍なのが、日本の仏教。 だから聖書学のような神学は存在しない。神がいないのだから…
だから税理士が必要なんだ!!(税務弘報2013年1月号) 中央経済社 現役税理士が「税理士業とは」を語ってます。 やはり皆さん仰るように年齢が必要なのか。年齢と、語ることの深みが比例している。 経験、洞察力、気付き、知恵。 これには年齢が必要で…
神を哲学した中世 新潮選書 八木雄二 中世における神学は、世界の原理は神であることを根本にしている。つまり現代の宇宙物理学や素粒子論と同じ位置づけです。この時代は実験ができないので、論理の限りを尽くしたのが神学です。神の存在証明はヒッグス粒子…
世界の99%を貧困にする経済 徳間書店 ジョセフ・E・スティグリッツ(ノーベル経済賞学者) アメリカの市場万能主義を批判しています。 日本はアメリカを真似してはならない、公共財への投資削減や社会保障制度の縮小は将来を危険にさらすと。 P39 三…
社長は労働法をこう使え ダイヤモンド社 向井蘭 税理士として知っておくべきことが多く書いてある。 解雇で裁判をすると最低2千万円。1〜2年分の給料で和解するのが ベスト。 仮処分申請に3〜6ヶ月。その後判決が出るまでに1年。この間、給料を払い続…
歴史を考えるヒント 新潮文庫 網野善彦 言葉の意味は時代によってまったく違う意味になってしまう。 しかし知らずに現代の言葉の意味で史料を読んでしまう。 専門家でも陥るミスなのだそうです。 「日本」という国名が決まったのは、689年(異説あり)の…
禁忌の聖書学 山本七平 税法の素人が法人税法の解説書を読んだようなものなので10分の1も理解できませんでしたが。 日本人なら誰でも子どもの頃、古事記や日本書紀の神話を絵本で読んでいるように、西欧では聖書のストーリを読み聞かされながら育つ。 い…
旧約聖書を知っていますか 阿刀田高 新潮文庫 キリスト教を知らなければ、世界の仕組みは理解できない。聖書を理解するのにまずは、聖書のストーリーを理解しようという本です。 P31 のちに、アブラハムの末裔モーセが同じ神に向かってその名を尋ねたとき…
青山常運歩 毎日新聞社 中曽根康弘対談集 タイトルは、仏教の教えを示すことばです。変化がないように見える山も季節の移ろいの中で身を整え躍動している。それに気付くことと、自らの錬磨の尊さを説くもの。 小沢一郎氏など的確に言い表していると思う。 渡…
間抜けの構造 ビートたけし 新潮新書 次々溢れるネタのような語り口は才能ですね。たぶん、自分で実際に書いているわけではないと思うのですが、何のメモも資料もなしで湧き出てくるのでしょう。 P84 今はCDもDVDもあるから、師匠について稽古しなく…
もうダマされないための経済学講義 光文社新書 若田部昌澄 貨幣供給量を増やせば、インフレ期待が生じ、結果的に経済成長するというのが著者の主張です。 過去にデフレを経験した社会は歴史上何度もありました。例外なく、デフレを脱した決め手は、インフレ…
戦後史の正体 孫崎享 創元社 うーん、ダメでした。30頁で止めました。陰謀論で世界を説明可能との論を受け入れるのはムリですね。わかってたら買わなかったのですが。元外交官、防衛大学教授ということで期待してしまいました。
日本破滅論 文春新書 藤井聡 中野剛志 「決められない政治」がダメだと最近よく言われる。 決めることが重要だという論は間違っていると思う。 それが正しいか否なんて誰にも分からない。国民が民主党を大拍手で決定したことは正しかったか。決定することに…
入門・信託と信託法 弘文堂 樋口 範雄 米英では、信託と契約は全く別の法律関係と位置付けられている。 信託の源流は、歴史的にみて実は契約よりもずっと早い。 相互に依存しないと存続できない昔の社会で、「信じて託す」という発想が生まれるのは必然。対…
独学術 ディスカバー携書 白取春彦 学校で勉強していても独学。 先生の話を聞いても本当の理解はできない。教科書を理解する、問題を解ける ようになるのは結局、独学の成果。 通達や質疑応答に答えは書いていない。 改正税法のすべても独学のための材料にす…
人種とスポーツ 中公新書 川島浩平 はしがきで始まる言葉がこれです。 「黒人を天性のアスリートとするイメージは、ネット上だけでなく、大学などの教育現場にもあるようだ。たとえば講義や演習で「黒人だから強い」「黒人は早い」という言葉をしばしば耳に…
宇宙は何でできているのか 幻冬舎新書 村山斉 これほどにわかりやすい一般向けの素粒子・宇宙論の解説書は他にないと思いました。 自分が理解していても、素人の他人に伝えるのは難しい。 難解な理論を易しく解説するには、知識のない他人の理解力の洞察・自…
人類はなぜ短期間で進化できたのか 平凡社 杉晴夫 生物としての人類進化史は、猿人の出現が400万年前。現生人類の出現が20万年前。 文化がいつどのように始まったのかは未だ分かっていないことが多いらしい。木に書いた文字などは化石にならないから、…
翻訳教室 はじめの一歩 ちくまプリマー新書 鴻巣友季子 翻訳とは誰よりも一番に深い読書だそうです。 著者になりきって著作全てを紹介する気持ちで読み込む。 しかし最後は、翻訳者が自分の責任で翻訳を引き受ける。 なるほど、一冊丸ごとの書評でもあると。
勉強上手 幻冬舎 成毛眞(日本マイクロソフト元社長) タイトルとは異なり、参考書を買って勉強するヤツはバカ。資格なんて多いほど出来ないヤツをアピールしてるに等しい、世の勉強ノウハウ本は当たり前のことか無駄なことを書いてるだけ、という内容です。…
私、社長ではなくなりました プレジデント社 安田佳生 立派なオフィスがメディアで取り上げられ、社長が「千円札は拾うな」という本を執筆しベストセラーになったことでも有名なネットベンチャーが、民事再生法を申請するまでを綴っています。 アマゾンの書…
誰も書かなかった厚生省 草思社 水野肇 筆者は、戦後の日本の社会保障史の生き証人です。 日本は決定するリーダーがいないといわれるが、だからこそ実は何でもアリの国。 官僚を絶対悪と見る現在、役人の誠実さと良心だけが頼りです。 医療費抑制ありきは何…
誰も書かなかった日本医師会 草思社 水野肇(医療ジャーナリスト) 10年近く前の本ですが、日本医師会の歴史がわかりました。 医師会は、武見太郎会長の時代から、徹底した反官僚、反厚生省。 医師会の反官僚には2種類あるように思います。そしてこれが医…
医療法人ものがたり ECブックス 田中重代(日本医療法人協会参与) 現在の医療法人への優遇税制と課税のゆがみが本書が語る歴史で理解できました。非営利を理由とした相続税の負担軽減への運動と、同族経営を手放したくないという権利を維持する運動という…
黄金の日本史 新潮新書 加藤廣(歴史作家) 日本史を金の視点で眺めています。 歴史はフランス語で、イストワール histoireという。これには作り話との意味もある。 歴史は過去の事実だなんてことはあり得ない。後世の人間が作ったストーリに過ぎない。なら…
キッシンジャー回想録 中国 岩波書店 ヘンリー・A.キッシンジャー 国境を接するすべての国といつも揉めてる国。 腫れ物に触るように接する西側諸国。 さらにソ連とも互いに嫌いあい、かつ警戒しあう。 経済力も軍事力も大したことないのに常に怒りまくって…
暴走する地方自治 ちくま新書 田村秀 役所の職員を減らす、給料を減額する、民営化する、行政組織を縮小統合する。これで地域経済は活性化するか。 するはずがないと思います。 上記は必要なことなのでしょう。しかしそれと地域経済の復活とは無関係です。 …
せいめいのはなし 新潮社 福岡伸一 生命は、まずDNAという設計図があって各パーツができ、それが組み立てられ、生物が完成される。これが一般のイメージですが実は違います。 細胞は、周りの細胞と情報を交換し合い、肝臓なら肝臓の細胞としての個性をも…
動きが心をつくる 講談社現代新書 春木豊 生命活動に脳は必要か。 不要なんですね。 単細胞生物に脳はないし、植物にもない。地球上の生物の9割は脳がないのではないか。進化論的には生物が脳を手に入れたのは後半にあたる。昆虫には脳はあるが、(たぶん)…