読書70 黄金の日本史

 黄金の日本史 新潮新書
 加藤廣(歴史作家)
 日本史を金の視点で眺めています。
 歴史はフランス語で、イストワール histoireという。これには作り話との意味もある。 歴史は過去の事実だなんてことはあり得ない。後世の人間が作ったストーリに過ぎない。なら、独自の発見、視点で歴史を語らないと面白くも何ともないという筆者の論に付きあってみました。
 日本で金が発見されたのが749年。大伴家持が高らかに詠み、聖武天皇は、喜びのあまり元号を「天平感宝」に変えたとのこと。その後の日本のは、支配者にとって常に金を巡る歴史だったと言って過言ではない。
 徳川幕府は、金山を支配し、金貨を発行したが、それだけの金が江戸末期には大幅に減少してしまっていたのはなぜか。海外貿易で長崎から流出してしまっていたのですね。欧州からの輸入でインフレが起き、幕府には金はない。それが幕府崩壊の理由だった。つまり、通貨政策の失敗だったというわけです。