読書79 宇宙は何でできているのか

宇宙は何でできているのか 幻冬舎新書
村山斉
 これほどにわかりやすい一般向けの素粒子宇宙論の解説書は他にないと思いました。
 自分が理解していても、素人の他人に伝えるのは難しい。
 難解な理論を易しく解説するには、知識のない他人の理解力の洞察・自分が理解してきた階段を辿る努力・表現の発想力・読者への誠実さ、が必要。その視点で読ませてもらいましたので、自身の本業の役にも立った1冊です。
 P217
 アインシュタインの方程式にしたがうならば、宇宙の膨張速度は宇宙空間のエネルギーで決まります。エネルギーがたくさんあれば速く広がるわけですが、空間が広がるとエネルギーも薄まるので、膨張速度は遅くなるはず。ところが観測結果を見ると、それが速くなっていました。空間が広がっているのに、エネルギーが薄まっていない。つまり、空間が広がるにつれて全体のエネルギーも大きくなっているわけです。
 この不思議なエネルギーが「暗黒エネルギー」で、その正体はまだ何もわかっていません。