読書90 歴史を考えるヒント
言葉の意味は時代によってまったく違う意味になってしまう。
しかし知らずに現代の言葉の意味で史料を読んでしまう。
専門家でも陥るミスなのだそうです。
「日本」という国名が決まったのは、689年(異説あり)の浄御原令という律令に登場してから。これ以前は「倭」だから日本は存在しないことになる。
なるほど。覚えておこう。
百姓も「百の姓」つまり平民を指す言葉であり、職人や金融業者など多様な生業に携わっていた。江戸時代にはすでに農民を指すものと誤解している学者の史料が残されているらしい。
ほかにも「支配」と言う言葉は、配分することを意味した。「国民を支配する」とは国民に富を分配することだ。
なるほど。言葉の意味を理解することが歴史を理解するための第一歩なのだ。
日本では、中世には、高度な市場が完成していた。
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例えば、複式簿記なども十七世紀前半には三井などでは実質上、でき上がっており、山口徹氏の研究によりますと、江戸後期には房総の九十九里浜の地引き網の経営でも、複式簿記の発想で帳簿が作成されていたといわれています。明治以後は、それを横書きに直せばよかったのです。それだけの伝統があったからこそ、江戸時代の社会が近代の西欧の商業・金融と接触したときに、直ちに自分たちの言葉で対応し、処理することができたのであろうと、私は考えております。