読書16 「わかる」とはどういうことか

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学
山鳥重 ちくま書房
 「わかる」とは、イメージ(心象)を脳の中に構築することです。脳に直接画像やテキストが保存されるわけではありません。外部の事実を自分の頭のなかでどのような心象にできるかが、その人の思考力だといえます。
 同じニュースに接しても人により受け取り方が違うのは、人により心象化した内容が違うためです。
 「わかる」ための能力は訓練しないことには高めることができません。さらに好奇心なしにはその訓練はできないと著者はいいます。
 つまり情報の量が多いことと情報を理解するこということはまったくべつのことなのですね。
 「わかる」ということは「わからない」ということと表裏一体です。グループ単体法人税制がそうです。「わかった」数だけ「わからない」ことが増えていきます。税理士は、主税局が書いたミステリー小説の読者なのかも。
「P194
 このようにミステリーではわからない部分は犯人捜しという形で準備されていますが、現実生活ではそうはゆきません。犯人は準備されていないのです。犯人、つまりわからない部分は自分で発見しなければなりません。ですが、わからない問題を発見した後は、その解決方法はミステリーの犯人捜しと似ています。自分の手持材料から、犯人捜しをやるのです。」