読書38 意識とは何だろうか

意識とは何だろうか
下條信輔 講談社現代新書
 見えている(認識している)もののみで判断したがるのが脳。見えない要因によって、現状が認識できないのを脳は嫌う。
 しかし、論理的に考えなければならないとき、状況の外にあるのが問題の本質であることは多い。
 たとえば、脱原発という論調は、原発をやめれば、安全が手に入るという論理の飛躍がある。
 見えないものに気付く必要があるのが専門家のアドバイス。つまり、専門書の知識で解決できることにはそれほど価値はありません。
 しかし同時に、他人とは、絶対に理解できないものであり、想像を絶する存在でもある。なにしろその人の心とは、過去の経験そのものなのですから。仮に他人の経験を自分の脳にダウンロードしてしまえば他人そものものになってしまいます。
 さらには、想像を絶する存在である他人とつながりなくしては生きてゆけないのが社会的動物である人間です。
 サルから恐怖や不快などの情動を支配する扁桃核を切除し、社会的行動が取れなくなるとどうなるか。サル自身は別段変化はない。しかし、微細な異常を感じ取った他のサルはパニック状態になるそうです。
 扁桃核を失ったサルがカリスマと呼ばれる人達でもある。つまり本人は正常そのもの。しかし周囲の人達は大変です。