身近なことが最大の謎

 理論物理の世界は今、黄金期といえるほど新たな発見への期待が高まっています。その筆頭が重力の解明。
 ニュートン万有引力で地球の軌道を解明し、アインシュタインが相対論で太陽系の軌道を解明した。しかし、宇宙全体の重力の説明は一般相対論では無理。たとえばブラックホールに吸い込まれた物質はどうなるかをアインシュタインの重力方程式で解くと無限大と弾き出されるそうです。物理学では無限大はお手上げ状態。宇宙規模の極限、極大現象に相対論は無力なのだそうです。
 宇宙全体とはつまり宇宙の始まりの解明でもある。初期宇宙の光は地球には届かない。しかし重力は何ものにも遮られることがない。つまり重力なら宇宙誕生時の様子も観測可能というわけです。
 重力という最も身近にこそ最大の謎がある。
 実務でも同じですね。当たり前に行っている判断を、極端事例や限界事例に当てはめると矛盾が生じる。
 矛盾の解明こそが、新たなアイデア、独創性、理屈の発見です。