読書33 行動経済学

 行動経済学
 依田高典(京都大学教授)中央公論新社
 経済学は、物理学に引け目を感じ、数理を用いた理論を取り入れてきた。ところが、数理経済学で構築した理論は、実際の人間の不合理な行動には当てはまらない。人間には感情があるからだ。ときには、損だとわかっている行動をとる。
 そこで登場したのが、行動経済学。論理から演繹的に経済的合理性を見いだすよりも、実験を用いて経験的に経済的合理性を導こうという行動経済学は、経済学者の間で大ブームとなり、一般書籍においてもブームとなった。
 著者は、若き日、果たして経済学が、一生を捧げるほどの価値のある社会改革の学問なのか悩んだというだけあって、経済学の苦悩の歴史が描かれていて面白い。