読書32 公共事業が日本を救う

公共事業が日本を救う
藤井聡(大学教授 土木計画学)文春新書
 必要な公共事業が行われていないことは、土木計画の専門家からみれば、日本の危機でしかない。今すぐ崩壊してもおかしくない橋や、大地震に耐えられないことが明らかな脆弱な都市インフラ。
 しかし、そのような予算が今の日本にあるのか。それも問題ないと。これからインフレを無視して、200兆円の赤字国債を発行しつづけて、ようやくギリシャのように破綻してしまう。つまり、日本の財政には少なくとも現時点では、問題はない、というのが著者の主張です。
P178
 そもそもこの現代文明社会の中では。「人」は「コンクリート」に守られつつ暮らしている。
 この現実を忘れて、地震防災などできるはずもない。「コンクリート」を適切に強化することを通じて、はじめて我々は、弱々しい存在ながらも、巨大地震という自然の猛威に対して立ち向かう術を得ることができるのである。
P212
 バブル崩壊に伴う不況から脱却できたのは、2000年代の小泉政権が行った「構造改革」のおかげでも何でもなく、小渕政権が行った大規模な国債の発行と、大規模な公共事業のおかげだったと考えざるを得ないだろう。