読書35 イギリス近代史講義

 イギリス近代史講義
 川北稔 講談社現代新書

 産業革命は、生産の革命と思われているが労働者が禁欲主義で幾ら働いても産業革命は起こりえなかった。需要・消費の爆発的な増加が必要だ。
 イギリスでは、14歳になればよその家へ奉公へ出る習慣があった。10年前後は、他人の家族になり、その間結婚はできないから、晩婚化とある程度の財力をもった人間がロンドンに集まり都市化が加速した。
 都市とは周りの人間が誰だか分からない社会のことだ。そのため身なりが非常に重要になる。こうして、衣装を作れば売れる社会が実現した。
 さらに女性が働きに出るようになったことで、台所用品や衣装を買うようになった。これこそ産業革命初期の製品だ。
 面白かったのは、経済成長の概念がヨーロッパでしか発生し得なかったことです。
 主権国家が並立する欧州だからこそ、隣の国と比べてどうか、さらに昨年と比較してどうかという概念が生まれた。これは鎖国政策や中華思想の国では発生しない。
 最初は、人口だったそうです。人が多い国ほど国力が強い。そこで人口の増加を競ったことが経済成長概念の始まりだった。
 ちなみに当時の学者の統計をみると天地創造の2名から始まってます。1656年は、8名。ノアの大洪水の年です。
 資本主義である限り、経済は成長せねばならないという強迫観念からは逃れられないのでしょう。