民事再生法が登場した理由

 昔は、再生型の倒産法制には、和議法と会社更生法がありました。
 会社更生法は、経営者が入れ替わり、株主も強制的に100%減資されてしまいます。その代わり、抵当権者の実行も禁止してしまうほど強力で重厚な再生手続きです。
 これに対し、和議法は、経営者が続投し、組織を維持しながら、債権者と集団和解してしまう手法であり、当事者の納得があれば柔軟な決着も認められます。個別的要素が強い分、利害関係者に及ぼす影響も配慮する必要があるため、裁判所も容易に開始決定を出しませんでした。たとえば、保全処分の決定を得て和議法を悪用する事例も多かったと聞いています。
 和議法が廃止され、替わり登場したのが民事再生法
 経営者続投という和議法の集団和解手続きの側面を残しながら、債権者の権利行使などは、会社更生法の厳格な側面を取り入れました。
 この意味では、民事再生法は、和議法の相続人でありながら、会社更生法の血をひいています。
 簡単に開始決定は得られますが、自力再生は相当に困難なのが実情です。中小企業の自力再生事案ではほとんどが、4,5年内に破産に移行するともいわれています。
 大量倒産時代に備え、倒産処理の「流れ作業」を可能とするために創設されたのが民事再生法です。
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