誰もが生き急いだ昭和の時代

 昭和をテーマにした本を読むと伝わってくるあの時代の暑さです。

 昭和30年代の日本……

 生産能力が不足しているため、すぐに物不足になってしまう。
 物不足は輸入超過を意味し、輸入超過はさらにインフレを加速する。
 国内に外貨が不足しているので、輸入超過はなんとしても避ける必要がある。

 そこで、引き締めによる不況を到来させることこそがインフレの特効薬。

 しかし、設備投資を拡大することが国是なので、金融引き締めは簡単にはできない。
 この時代、設備投資の増加償却は、絶大なニーズがあった。

 企業は自己資本が低く借り入れが多いため金利の上昇は致命傷になる。
 冗費はダメなので交際費課税導入も必要だった。

 インフレと不況の波をコントロールすることが政治の役割だが、簡単なことではない。景気上昇期の金融引き締めには大きな決断が要求される。かといってタイミングが遅れると深刻な不況をまねく。

 国民はすぐに政府を無策だと非難する。
 毎年のように大規模な労働争議が起こり、共産主義者によるテロが多発する。