読書62 物語論

 物語論
 木村俊介 講談社現代新書
 作家、漫画家、美術家が物語を生み出すとは何かを語ります。週間連載をこなす漫画家が深く語っているように思う。熾烈な競争に身を置いているからだろうか。作家は自分の感情を言葉遊びで表現している人が多い。あまり深みがないように思う。ま、好みですが。
 みなさん自分との戦いだと語っています。
 1コマ目に勝負をかける。アイデアは出し尽くさないと次のアイデアは出てこない。出し惜しみは成長を止める効果しかありません。
 P32
 まずは持っているものを惜しげもなく使い切ってしまったほうがラクなのではないでしょうか。みんな、そういうところで妙にケチなんだけど、ヘタにストックを取っておいても自分自身の二番煎じでしか生きていけなくなってしまうようにも思います。
 P148
 まず、漫画のページをめくりますよね。すると右上に1コマ目がでてくるけど、まず、そのコマが何のためにあるのかという意味が必要なんです。その1コマ目にストーリー上において重要な意味があるほど、次のコマとの間に緊張感が発生していく。それがコマ割りにリズムを与えてくれるわけです。だから、はじめにやるべきことは「1コマ目の意味をどれだけわかりやすくできるかのか?」なのです。
 P159
 まあ結局、漫画を描くって、過去の経験も何もかもを活かして、これまでなかったストーリーを……と四六時中、懸命に案を練ることでしかないんですよ。ですから今でも、年に休みはせいぜい三日で、五分間のトイレの時間だって読書にあててネタを吸収する、なんて生活を三十年以上も続けているわけです。