100%グループ内の組織再編(専門家むけ)

 100%グループ企業であれば、従来の合併・会社分割などの組織法上の行為によらず、寄附や配当を利用して、組織再編を行うことができるようになります。それが、22年度税制改正で創設されたグループ税制です。
 改正内容としては、現物分配(金銭で配当するかわりに現物で配当する方法)を税制適格組織再編に取り込みました。さらに寄附金を支払法人側で損金不算入とし、受贈法人側での益金不算入とする改正を行ったことで(これにより寄附の要素のある無対価再編も適格再編として整理された)、以下のような税法上の組織再編が可能になります。どの手法を選択しても資産を簿価で引き継ぐことになります。
◆孫会社を子会社にする手法には以下の選択肢ができる
手法1:孫会社株を無対価分割型分割により親会社に分割
手法2:孫会社株を親会社に現物配当
手法3:孫会社株を無対価株式交換により親会社に割り当て
手法4:孫会社株を親会社に寄附(この場合は、子会社で譲渡損益を繰り延べ)
手法5:子会社を解散して孫会社株を残余財産として分配
手法6:子会社を合併する
 つまり、グループ税制とは、100%グループ内の組織再編税制の改正だった、という位置づけができそうです。