信託の可能性

 法律上の権利(受託者)と実質の価値(受益権)を分離してしまうのが、信託です。
 受益権となる実質の価値とはどんなものか。
 どんなものでもよいのですね。何でもありです。
 
 信託は、エクイティ(衡平)が法制度にまで発達したものです。
 エクイティとは、ある事案の解決を法律の解釈ではなく、その事案限りで倫理・道徳を規準に解決することをいいます。
 それが集積し、財産管理制度になったものが信託ですから、受益権は民法の所有権に縛られず、どのような価値や切り分けも可能なのです。

 したがって、信託を実務で利用する場合も、目の前の問題や財産管理ための手法を個別に、かつ柔軟に組み立てる必要があります。決まった型はありません。
 アドリブと発想が常に求められることになります。

 ここが、信託の面白いところであり、専門家としての力量が問われる場面でもあるということになるのです。